あの看板ってそんなに高いの!?

「ほーら、高い高い~」
寿退社をした元同僚が、赤ちゃんを連れて職場に遊びに来ました。

「キャッキャッ」
「わぁ、看板博士、すごいですね。この子ったら普段は人見知りするのに、完全になついてますね」
いやあ、赤ちゃんは基本高いところが好きだからねえ(しかし、退職した人にまで看板博士というニックネームは知られているのか。トホホ)。

「もしかして、看板博士も高いところが好きなんですか」
「そっか、確かに高いところにある看板の方が目立っていいですよね」
うーん、それは一概には言えないなあ。ただ高ければいいってもんでもないし。高さを追い求めるとキリがなくなるからなあ。

「そうなんですか。じゃあ、午後の会議が急遽無くなったことだし、その高さの話、たっぷり聞かせてくださいよ」
「わあ、久々の看板トークですね。懐かしいなあ。是非是非」
こらこら、そんなこと話しても、赤ちゃんも退屈するだろうに。
「キャッキャッキャッ」
え、まさか、喜んでいる……?

まずはおなじみのモノの高さから

町を歩いて目につく高いもの。
まずはよく見る道路標識からはじめましょう。
通行者向けに設置されているのは1.8mが基準で、歩行者用信号機の場合は2.5m以上とされています。車両用の標識や信号機の場合は、これよりも高くなり5m以上です。

ビルの入り口にある看板は、歩行者や入場者に向けてのものなのでさほど高くはありません。
逆に壁面や屋上に取り付けられた看板は「遠くからでも見える」という狙いもあり、高い位置にあります。
ビルの高さは、(種類や用途によっても違いますが)1階につき3~4mのものが多いです。
ですので、例えば4階建ての建物につけられた看板は約15mの高さということになります。

看板がある有名なビルだと、渋谷が舞台の映画やドラマでよく映るSHIBUYA109があります。
ビル部分は9階建てで、円筒状のシリンダーに貼られる看板は地上約30~40mの位置にあることになります。また、建物全体の高さは50mなので、「109」というロゴの看板はその位置にあります。

地上100m。タワーと広告の関係

そして、ビルからさらに高さを目指す建物というと、やはり塔・タワーではないでしょうか。
中でも看板が密接に関係するのは、大阪の繁華街 新世界にある、高さ108mの通天閣。
1956年に再建された通天閣の側面には、翌年から日立製作所がネオン広告を出すようになりました。
以降50年以上の長きにわたり、社名や商品名が書かれた塔の姿は大阪のシンボルでもあります。

この側面でPRされている商品も、実は時代とともに変化しています。
かつてはポンプやエアコンだったのが、カラーテレビ、パソコン、ハイビジョンテレビと随時リニューアルがされています。並べてみると時代の変遷を感じますね。
1面が横幅約5.2m、高さ約45mというネオン広告。
現在はLEDに取り換えられています。

(参考:通天閣LED・ネオン広告 (日立製作所)http://www.hitachi.co.jp/area/kansai/portal/publicity/tutenkaku/index.html )

そして今年2017年には、ライトアップ時の色の数を12色に増やすといった改修工事が行われました。
より多彩なデザインで町の人々を楽しませるよう、常に進化し続ける塔でもあるのです。

通天閣よりも高い塔はいくつかありますが、このように側面に広告が随時出ていることはありません。ただし、イルミネーションによるPRは色々と行われています。

その中でも興味深いのは、ピンクリボンキャンペーン。
乳がんに対する正しい知識を啓蒙するための活動で、中でも10月1日はピンクリボンデーとして、東京タワー、東京スカイツリー、神戸ポートタワー、さらには東京都庁、大阪城、明石海峡大橋といった施設などが、これまでピンク色にライトアップしてきました。

特にこのキャンペーンの皮切りでもあった高さ333mの東京タワーは、時折ライトアップを変えることも実は有名です。
中でも個人的に印象深いのは、2013年にタワー内で行われた「藤子・F・不二雄展」のプロモーション。
全体を青、一部を赤と白という「ドラえもんカラー」でライトアップがされました。
またその際には、地上125mにある展望台に、ドラえもんの鈴をイメージしたイラストが遠目でも見えるくらいライトアップされました。

標高3,776m。日本一高い山にある看板について

そして建造物ではなく、日本一高い場所というと富士山になります。
山小屋の看板はもちろん、標高や地点を表す道標や、各種注意を促す標識など様々な看板が立ち並んでいます。

しかし近年、手書きなどで経年劣化した看板の置き換えの他、増加する登山者に対してより適切な情報を提供し、かつ自然や景観を損なわないようにするといった配慮が必要となりました。
そこで数年前から、富士山を含む富士箱根伊豆国立公園を管理する環境省では、乱立する標識を整理しようと統合整理を行ってきました。
(参考:【お知らせ】「富士山における標識類総合ガイドライン」及び「富士山における標識類の統合整理計画」の策定等について (環境省)
https://www.env.go.jp/park/fujihakone/topics/100630a.html )

これにより老朽化した看板や、情報が重複した看板などが撤去され、必要最低限の看板のみの設置へと変わっていっているそうです。

高度1500フィートからさらに高くへ。空の広告

あの看板ってそんなに高いの!?

折角なのでもっと高く、地面からも離れてみましょう。
近年のドローンをはじめとし、アドバルーンや熱気球など、空を使った広告は沢山あります。

中でも、地上から眺めやすく、空飛ぶ看板としてのイメージもあるのは飛行船。
高度1500フィート、つまり地上から約450メートルの高さを飛ぶことができます。
「あれ、意外に高くない」と思われるかもしれません。
飛行機などを使えばこれより高く飛ぶことも可能なのですが、そうなると地上から機体が見えなくなり、広告としての効果が薄くなってしまいます。

では、地上から見ることができるという要素を除いた看板・広告についても見ていきましょう。
全日空のポケモンジェットなど飛行機の機体に広告を載せたものは有名ですが、さらに空高く、ロケットなどはどうでしょうか。
例えば、F1の車体やドライバーにさまざまな企業の広告が貼付されるように、ロケットの機体にも広告は載っているのでしょうか?

これが、実は(すべてにというわけではありませんが)あるのです。
確かに宇宙開発というのは公共性が強いため、例えばアメリカでは1993年に宇宙においての広告を禁じる法案が提出されました。
しかし、最終的にはロケットの外装や服などへのロゴの貼付は一部認められるようなりました。

日本でも、2002年にYahoo! Japanが「スペースシャトルの機体にバナー広告を掲載する」というニュースを掲載したことがあります!
……が、これは4月1日に発表されたエイプリルフール企画。残念。
しかしそれから十年以上経過し、宇宙への広告は現実のものとなっています。

まず民間ロケットによる宇宙開発を目指すベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」の小型ロケットには、DMM.com社が協賛。
機体にはDMMのロゴが入れられています。
またロケットの開発・製造・打ち上げを行う三菱重工業も、ホームページに機体広告についての問い合わせフォームを設置しています。
(参考:MHI打上げ輸送サービス (三菱重工)
https://h2a.mhi.co.jp/cgi-bin/inquiry/index.cgi )

実際に飛んでいる広告自体を見ることはできませんが、頭上よりも遥か高い宇宙にメッセージがあるというのは、実にロマンあふれるものです。

…そんな感じで、「高いところにある」ということ自体に広告価値がある場合もあるね。
でも、基本はメッセージを伝えたい相手への目につきやすさというのが、看板本来の価値。
どこにいて何をしている人に伝えたいのかという点で、見やすい看板の高さというものは決まってくるね。
例えば、歩いているのか車に乗っているのか、ビルの真下にいて看板を見たいのか、ちょっと離れた駅からの景色として見渡しているのか、とかね。

「なるほど。いやー、久々の看板トーク、心に染みました」
それはよかった。
でも、なぜか一番喜んでいるのは、どうやらこの人みたいだね。

「キャッキャッキャッキャッ」
「あらあら、末は看板博士か看板大臣ですわね」

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