デジタルサイネージに立ち止まる私はすでに看板マニア?

出張で新幹線移動中。数名の職場の仲間たちと、車内で脳トレの間違い探しパズルで盛り上がっています。

「いいっすか、みんな。この10秒の間に映像に変化があるので、当ててくださいね。いきますよ。……はい、わかりました?」
「え、もう終わったの。まったくわからないなあ」

あれ、ビルの看板が赤から青に変わったんじゃないの?
「おおー!」
「さすが、看板博士。気付くのが鋭いですね!」
だから博士じゃないんだけどなあ。
えーと、この、上級モードってのは何かな?

「これは3つ隠れているんで、全部当ててくださいね。じゃあ、いきますよ!」
「えー、1つしかわからなかったよう」

はいはい。駅の文字の大きさと、道路標識の高さと……
「えっ、すごい! 本当だ!! なんでわかるんですか!」
別に注意力があるタイプじゃないんだけど、動きや変化があるとそこに自然と目が行っちゃうのかなあ。
「へえ~。変化に目が行きやすい。それが看板博士なんですね!」

うー、そこまで言うなら、変化に目が行ってしまうデジタルサイネージの看板の話をしちゃうぞ。
「よっ、待ってました!」
「脳トレならぬ、看板トレーニング! 看トレですね!」
なんだそれ(笑)。では、駅に着くまでの間の、看トレ、はじまりはじまり。

今まで素通りしていた看板がデジタルサイネージ

「先日、3年ぶりに一緒に名古屋に出張したよね。名古屋駅構内で、何か気付いたことはあったかな?」
「うーん、特に。あ、でもなんか明るくなってたかも。あと、当社の広告をどこかで見かけたような…」

昨今、特に新幹線の主要駅などでは、駅内の広告が従来のポスターからデジタルサイネージへと変化しています。
デジタルサイネージとは、「電子看板」のこと。ITなどのデジタル技術を活用し、情報や広告内容が液晶パネルやプロジェクターによって投影される看板を指します。特に、動画などを定期的に流したり、リアルタイムな情報を配信したりと最近いろいろな分野で普及が著しい広告媒体です。新幹線駅では、約10年前に東京駅で導入され、以降、新大阪駅や品川駅通路など、様々な駅へ拡大されていきました。

名古屋駅では2014年に運営開始されましたが、圧倒されるのはその数。駅中央コンコースにある50本の柱に、合計100枚のディスプレイが設置されています。

従来、駅構内の通路は柱が多いため、元々ポスターを貼るためには大変適した場所でした。ただし、利用者は絶えず移動することが多いため、何度も目にするよう、わざと同じポスターを連続して貼られることも多くありました。もちろん露出を増やすという意味では効果的なのですが、24時間同じポスターだけが掲載されるというのは、人によっては退屈でもあり、「何で同じポスターがこんなにあるの?」という疑問もありました。

その点、この名古屋駅の看板はデジタルサイネージならではの特性を生かし、コンコース内の平均移動時間に合わせて、広告の内容が変化するようになっています。バラエティに富んでいるのはもちろんのこと、普通に構内を歩くだけでより多くの情報を目にすることができるのです!
(参考:http://www.sharp.co.jp/business/case/detail/display_detail_146.html )

いつも歩いて見ている? 立ち止まってじっくり見たい? 駅内の看板の特徴

「言われてみれば、確かに沢山ディスプレイがあって、色々な広告流れていましたね!」
そうそう。電話もかかってきたから、立ち止まって見ていたよね。
「ところで、駅やその通路にある広告看板って、他の広告看板と何か違いってあるんですか?」

まず、最大の特徴は広告が見られる頻度です。

駅の通路は、まず乗り換えにより往来が多く、人目につきやすいという特徴があります。駅にもよりますが、人目につく頻度から考えると、他の場所への掲載に比べて広告料のコストパフォーマンスも高いとか。

加えて、利用者の特性上、記憶に残りやすいとも言われています。

これには2パターンあり、初めてその地に来た人にとっては、新鮮味ある中で最初に目にするもので大変インパクトがあります。逆に、普段から利用している人にとっては、何度も目にするものであるので反復効果があります。よって、どちらのタイプの利用者であっても、記憶に残りやすくなります。

さらにはエリアの拠点としての情報発信の要素的な位置付けも持っています。看板でPRする内容が地元に密着した商品や観光名所・名跡などであれば、訴求のみならずブランドが生まれるという複合的な価値もあります。

デジタルサイネージに立ち止まる私はすでに看板マニア?

ドライブ中でも寄りたくなる…パーキングエリアの看板

「ところで、駅と言っても空港や港、あるいは道の駅などもありますよね。そういう場所でも博士は立ち止まって看板を見ているんですか?」
確かに。まあ空港などは公共交通機関だから話はより身近だけど、車の場合だとちょっと話は違ってくるかもしれないね。

電車の車窓から見える看板と違い、高速道路を運転中に車窓から見える看板は、そちらにばかり注意が移ってしまうと、わき見運転の原因になりかねません。というわけで、こちらもそのターミナルに該当するパーキングエリアでの話題に。

パーキングエリアの利用者の目的は、トイレ休憩をしたり、食事をしたりなど多種多様
ですが、合わせて道路情報を得るという要素もあります。したがって渋滞情報や事故情報といった道路の状況がほぼリアルタイムで集約されています。

元々そのような施設でもあるため、パーキングエリアは情報収集や配信といったデジタル要素との親和性も高いようで、色々なデジタルサイネージの施設が目につきます。

そしてデジタルサイネージが持つもう1つの特徴にインタラクティブ、「双方向」という要素があります。ポスターなどの看板の場合は、利用者は一方的に見せられるだけです。しかしデジタルサイネージの看板の場合、利用者が操作することで欲しい情報を引き出せたり、検索ができたりといったことが可能となります。

タッチパネルになっていて、触ったエリアの観光情報を引き出せる地図や、使用されている食材などの情報が表示されるフードメニュー、と言えばイメージが湧く人も多いのではないでしょうか。

また昨今のサービスエリアは、エンターテイメントの施設も充実しています。特に土日は家族連れなど子どもが多くなるというのもサービスエリアの特徴の一つ。長時間のドライブで退屈した子どもを飽きさせないよう、タッチすると対応した音が鳴るようなアミューズメント要素の多い看板もあります。

もしかしたら、長時間運転をすると体もなまってきますので、適度に動かしてリフレッシュをさせることができる双方向のデジタルサイネージは相性がいいのかもしれません。

デジタルサイネージに甘えない看板づくりを!

「やっぱり、博士は普段から看板を見て、立ち止まっているんですねえ」
そうなのかなあ、なにか動いているのが視界に入ると、気になってついついそっちを見ちゃっているだけなんだけど。もしかしたら、それが看板好きになった要因なのかなぁ。
「注意力、すごいんですねえ」

いやあ、それほどでもないよ。
むしろ本当に優れた看板っていうのは、ふだん何気なく歩いている人に「おや、なんだろう」と注意を喚起させ、そして見た人になんらかの有益な情報や体験を与えるものだと思うんだよ。

確かにデジタルサイネージの看板というのは、掲示する場所にとっては数多くの広告を取り扱うことができるし、広告主にとっては注意をひきやすいし、良いことづくめではあるね。しかし、その注意喚起だけで終わって、派手さしか見た人の印象に残らないようだったら、それはちょっと悲しいね。

昔、駅一面に、聞き覚えの無い商品名だけをドドーンと載せた広告を見たことがあるよ。ただ、それを見た人は「これってどんな商品なの?」「なんかどの画面もそればかりでつまらない」と言ってたね…

せっかくデジタルサイネージで、しかも人の往来が多い場所に広告を出すんだったら、派手さや豪華さだけを打ち出すんじゃなく、商品機能のPRやブランドづくりだったり、アミューズメント要素による好感度UPだったり、立ち止まった人に対して何らかのプラスになるようにして欲しいなぁ。

さ、そろそろ駅に着くよ。
そういう観点で看板を見ると、いつもの駅の看板も色々楽しめると思うよ(ただ、突然立ち止まって、ぶつかって事故したりすることが無いよう、注意してくださいね!)。

デジタルサイネージ