明るい看板、暗い看板。どうせ作るなら明るい方で!

チケットをもらったので、職場の仲間たちと美術館に行ってみました。

「いやあ、あまり難しいことはわからないんですが、素敵な絵でしたね」
ああ、こういうのは自分の感性のままに感じるのが一番だよね。

中でも入り口を入ってすぐにあった、あの明るい絵、いい感じだったなあ
「そうでしたっけ? むしろ、悲劇的な神話が題材の暗い絵だったような」
そんなことない! あの色の明るさといったら!

おいおい、ちょっと待ちたまえ。なんか話がかみ合ってないぞ。
もしかして「明るい」といっても、色としての明るさ&暗さと、メッセージやストーリーとしての明るさ&暗さをごっちゃにしてないか?
「あ、なるほど。確かに、色合いが明るくても、暗いストーリーが語られている絵もあれば、その逆もありますもんね」
ほっ。よかった。なんとか喧嘩にならずにすんだみたいだな。

「ちなみに、看板にもやっぱり明るい&暗いってあるんですよね? 看板博士!」
またその話になるのかぁ……。でも、もちろん。
物理的に光に照らされる明るさ、そして文言やメッセージなどの表現としての明るさとがあるから、その各々について語ってみようか。

物理的な明るさを好むのは人間の本能

まず物理的な光の明るさについて。

そもそも植物に限らず、動物は自然と暗いところよりも明るいところへと惹かれる傾向があります。
これは生き物の本能のようです。

そして、もちろん人間も同じ。
暗いものよりも明るいところへと目が行きがちです。そうなると、看板を目立たせるには、明るくライトアップするということが大事となります。

ただし何が何でも明るく照らしさえすればいい、というわけではなく、「何の目的の看板なのか」「その目的のためには、明るくすることは効果があるのか」ということに留意する必要があります。
例えば、夜の住宅街の中にひっそりとある落ち着いた雰囲気を楽しみたい隠れ家的なBarの場合、明るすぎる看板は逆効果。
むしろほとんどライトアップしないくらいのぼんやり程度がいいでしょう。

というわけで、看板を明るくすることでの効果について、いくつかあげていきます。

看板を光で明るくすることの効果

明るい看板、暗い看板。どうせ作るなら明るい方で!
まずは目立つということ。
特に街中ではなく、道路沿いなどに立てる看板の場合、遠くからでも目につき、情報を発信できるのは大きい効果です。
特に、明るい日中のみならず、夜や天候の悪い中でも看板としてアピールしたい場合、ライトアップはとても大事です。

逆に街中にある場合には、目立つ点に加えて、防犯効果や安心感という要素もあります。
あまりなじみがない夜道を歩いている時、コンビニエンスストアの灯りが目に入って安心したという経験はありませんか?
暗い夜道を明るくするのは、心理的に心強く、また犯罪などの抑制効果に繋がっていきます。
来客のみならず、近隣住民へのサービス・安心感を与えるという側面もあるんですね。

加えて実際に店頭で明るく照らす場合は、そのお店への入店を促す誘導の効果もあります。ただし、この場合はどこを照らすか、注意が必要です。

場合によっては、看板を明るくするよりも、入り口自体をより明るくした方がいい場合もあります。
また、視線の高さだけを明るくして、足元が暗い場合、入店にはためらいが生じてしまいます。

もちろん逆に、足元だけを明るくすればいいというものでもありません。
想定している来店客が、どのように看板を見て、そして店に近づき、そこから次にどのようなアクションを取って欲しいのか(店内の様子を見せたいのであれば、看板よりも美容室のようなガラス張りの店内を見せた方がいいかもしれません。逆に、Barのようにドアを開けて欲しい場合は、ノブへ光を当てるような演出もあります)、色々意識した上で明るくする必要があります。

明るく照らすことによって、強調されたり、色が浮かび上がったりなど、さまざまな演出が可能となりますが、全体のバランスを考えてのメリハリが大事です。
「派手で目立てばいい、だけではない」と意識するだけで、より効果的な演出が可能となります。

看板に記載のメッセージ。一見、暗く見えるのも分析してみると……

そして、看板に記載のメッセージの中身について。
やはり、明るいメッセージの方が、人を幸せにします。
「美味しい料理のお店!」の方が「美味しくない料理のお店」(という看板はなかなか見ないとは思いますが)よりも食欲をそそることでしょう。

しかし、実際に街の看板を眺めてみると「悩み」や「不平不満」が書かれた、どちらかというと暗い(ネガティブ)メッセージ性を持った看板も、しばしば目にします。
これは何なのか?

この場合、確かにメッセージはネガティブさを感じますが、そこにあるのは単なるグチや不安の煽りなのではなく、「共感」です。
人が抱えている悩みや不満を表に出すことで、「同じ悩みを抱えているから、解決したいですよね」「私もその点が不満だったんです。
どうしたらいいか一緒に考えましょう」など「私たちはあなたと同じです」「受け止めますよ」というメッセージ性を伝えているのです。
そういった意味では、ネガティブさを出しつつも、共感という明るさが含まれているかもしれません。

特に昨今は、毒舌芸能人など、表面的なきれいごとだけではなく、正論を正直に切り込んでいくメッセージは好感が持たれています。
根拠もなく明るいだけのメッセージよりも、ネガティブに切り込んだメッセージの方が刺さるかもしれません。

とは言っても、これは周囲が明るいのが多い中で、逆張りすることで目立たせるというテクニック。
斜に構えてトガったメッセージよりは、老若男女あらゆる人が目にすることを考えると、わかりやすい明るいメッセージの方が好まれるようです。

看板を、明るくするには?

では、どうやったら明るい看板を作ることができるでしょうか?

まずは物理的な光の投影方法について。
光源の位置で大きく分けると、ネオンサインのように看板自体が光源であるもの、プラスチックなどの半透明の看板の後ろから光を当てるもの、そして、看板自体には光源を置かずにその上下左右などにライトを設置して照らすものとがあります。
これらは、電気の供給手段や電源の位置、看板の素材などによって異なってきます。

大事なのは、意図しない影の部分があると、印象が悪くなるという点。光源の位置によってムラができることがないよう、看板で伝えたいメッセージ全体に、光が投影されるようしましょう。

もう一つメッセージの明るさについて。
具体的に使う文言の好みは人それぞれなので、ここでは誰でもできる最初のチェックだけ。大事なのは、自分がお客さんの立場でその看板を見た時に、知りたい情報がちゃんと書かれているか、不安となる要素がないかという点です。

「啓蒙キャンペーン」などであるなら、訴えたいメッセージだけで構いません。
しかし、その看板がアピールしたいのは「商品」であるならばどこで手に入るのか。
「お店」であるならその看板から近いのか、そうでなければどうやったら行くことができるのか。
「お店の入り口の看板」であるならば、屋号だけでなく、何を扱っていて、どんなメニューで、おおよその費用感など、どんな客を求めているのかなど。
載せたい内容が多すぎて情報過多になってはいけませんが、それらが含まれているのを確認した上で、ウリにしたいのが価格なのか、特徴なのか、何を目立たせるべきか考えるようにしましょう。

ダークなものすらも、明るく演出?

「なるほどなあ。明るくすることでの防犯効果とか、確かにそうですよね。あまり意識したことなかったですけど」
うん。でも逆に、何かの時にはその明るい看板を思い出すってことがあると思うよ。

「ちなみに、最近博士が注目している明るいものってあるんですか?」
そうだねえ。看板からはちょっとはずれるけど、日本のハロウィンの演出って面白いよね。

どちらかというと夜やオバケといったダークなイメージだったのが、ここ数年の人気はまったく明るい方向に向かってる感じがするね。
10月になると、お店にハロウィングッズが並ぶことが増えてきたけど、その看板を見ても、配色こそ黒やオレンジなど暗めのもが多いけど、実際はとてもポップな感じを打ち出しているね。

期間限定のキャンペーンの看板は、特にその時代それぞれの流行を含んでいるから、じっくり見たら面白いかもしれないね。

「そういう美術館も、あれば面白そうですね」
確かに!いいなあ、看板美術館! 夢が広がるね!はぁ~、ウットリ。
(どなたか作ったら、是非知らせてくださいね!)

電飾ポスターパネル/イーゼル