アドバルーンどれくらいの大きさなの??

いよいよ夏本番。青空にはギンギンに照る太陽が昇っています。

「いやあ、こんなに暑いと太陽を見るのも嫌になりますよねえ、看板博士。」
本当、そうだねえ(だから、看板博士じゃないんだけどなあ)。

「看板好きとしては、やっぱり、同じ空に浮かぶものといっても、太陽よりも飛行船、気球、あとアドバルーンなんかがお好きなんじゃないですか?」
おっ、わかっているねえ!
最近見なくなったけど、アドバルーンって本当いいよねえ。
小さい頃は、それこそ太陽のように大きいなあって感じたっけ。

「あれ、アドバルーンって、結構大きいんじゃないんですか。太陽とまではいいませんけど、直径数百mはあるのでは?」
ふふ、空に浮かぶものって意外と大きさわからないよね。
じゃあ、次の顧客先に回るまで時間があるから、喫茶店で少し涼みながら、アドバルーンの謎を色々解き明かしていこうか。

アドバルーンってそもそも何?

まず辞書的な意味から。
「アドバルーン」は、「広告」を意味する「アド」と、「風船」を意味する「バルーン」とを組み合わせた和製英語です。
その名の通り、広告用の幕などを吊り下げた気球のことを指します。

と、横文字で表記されますが、実はこれ、日本で生まれた広告媒体なんです。
およそ100年前の明治から大正へと移り変わる頃から使われ出し、以降30年近く日本の空を彩ってきました。
当時の街の写真で、デパート屋上のアドバルーンなどを見ることもできます。

ただし時代が戦争へと進むにつれ、その利用は禁止されていくことに。
終戦直後も風船爆弾をイメージさせるとの理由から禁じられ続けました。
しかしその後解禁され、昭和30年代から40年代は、多くのアドバルーンが再び日本の空に飛ぶようになりました。

ちなみに英語では「advertising balloon」と呼ばれる広告媒体がありますが、これは広義で広告に使われる気球や風船全般を指します。
日本の「アドバルーン」のような広告幕を下げる気球のタイプだけでなく、例えば飛行船や熱気球の機体全体に広告が書かれたものも含めています。

また日本でも、近年は気球や風船も様々な形状のものも多いため、それらの広義のものも「アドバルーン」として扱う場面も多いようです。

アドバルーンの中には何が詰まっている?

さて、ここでクイズです。
そんなアドバルーンですが、中には何が詰まっているでしょうか?
「夢が詰まっている」というロマンチックな答えもいいですが、残念ながら(?)現実的な答えを探していきましょう。

熱気球の場合は、バーナーなどで熱した空気を球の中に入れることで、浮力を生じさせています。
対して、アドバルーンの場合は、中にガスを充填させることで空に浮かんでいます。
そのガスですが、空に浮くためには、当然空気よりも軽い気体である必要があります。

ここで中学の理科を思い出してみましょう。
空気の成分のうち、その大半は窒素。
原子番号7番の窒素より軽い気体となると、まずは原子番号が7よりも小さい必要があります。
といったわけで、元素周期表を見て、常温で気体となる元素を探してみましょう。
原子番号1番の水素、そして原子番号2番のヘリウムが該当します。

実際アドバルーンの中に詰まっている気体は、この2種類のどちらかであることがほとんどです。
より原子番号が小さく浮きやすい方、そして手に入りやすさを考えると、一見水素がベターに思われます。
しかし、水素は引火して最悪の場合爆発する恐れがあります。
そのため、消防署へ届出を提出して許可を取る必要があります。
(例:東京消防庁 申請様式 「水素ガスを充てんする気球の設置届出」
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/drs/ss_mokuteki16.html )

そのため、安全に使用ができるヘリウムが使われるケースの方が多いようです。
ただし数年前にヘリウムの価格が高騰してニュースになったのを覚えている人も多いのではないでしょうか。
声を変えるスプレーなどで手に入りやすくはありますが、昔と比べるとその値段は高騰しています。

アドバルーンどれくらいの大きさなの??

アドバルーンの大きさはどれくらい?

では当初の質問にあがっていたアドバルーンの大きさについて、屋外でよく見るアドバルーンのサイズを調べてみました。

まず高さですが、その下に吊るす広告幕にもよりますが、およそ20~40m。
それ以上上空に飛ばすと安定しづらくなることもあり、50mまでのものが多いようです。

そして気球部分についてですが、その前に比較としてゴム風船を見てみましょう。
直径は大体30cmで、15リットルのガスが入ります。
ヘリウムガスで充填した場合、10g強の浮力が生じます。

アドバルーンの気球部分ですが、直径は2m強。
どうでしょう、思っていたよりも小さいなという感じがしませんか?
それでも気体を入れる容量は4000~6000リットル。
ヘリウムガスで充填すると約5kgの浮力が生じます。
一見すると、人間をぶら下げることもできそうなくらい宙に浮いていますが、実は5kg分重さが増すだけで地面についてしまうんですね。

アドバルーンの近況、そして弱点

さて、ここまで語ってきたアドバルーンですが、実際ここ最近目にしたことはあるでしょうか?
残念ながら最近は屋外で浮かぶことは少なくなっているようです。

その理由はいくつかありますが、まず大きいのは「天気に左右される」という点。
広告である以上、安定した掲載が望まれますので、雨天や強風の日には出さないというのは痛手となるようです。

また、「周囲の障害物などの規制が増えた」ことも挙げられます。
近年のドローン規制でも話題となりましたが、空へ広告を飛ばす際には自治体などへ届出を行わなければならないこともあります。
また、電線のそばや、線路が近くにある場合はあげることができないといった制限もあります。

そして特に町中では「高層ビルが増えた」という点もあります。
昔はさほどビルも立ち並んでおらず、10m上空から広告を垂らすアドバルーンは人目を引いていました。しかし今は、数十mクラスのビルがいくつも立ち並んでいます。
その中にアドバルーンをあげる許可を得るのも一苦労ですが、実際あげても林立するビルに紛れて目立たないことでしょう。
仮にそれらビルよりも高くあげたとしても、今度はそこへ視線を向けるには相当頭をあげなくてはならず、見づらくなるという問題点も抱えてしまいます。

その他、設置までに煩雑な手間や人手がかかるといった点もあり、敬遠されがちになっているそうです。

それでも空に浮かんでほしい、アドバルーンの長所!

と、近年人気薄のアドバルーンですが、補ってあまりある魅力も抱えています。
その最大の長所は「夢が詰まっている」こと!
空を自由に飛びたいというのは、羽を持たない人類の普遍の夢です。
空に浮かんでいるバルーンにはついつい目がいってしまうもの。宣伝効果は抜群です。
加えてアドバルーンには、「ユーモラスさ」に加え、最近では「レア感」そして「ノスタルジックな感覚」も喚起させられるようです。

また郊外の遊園地や住宅展示場など、車などで遠方から来場する人に対して、「ランドマーク(会場位置の目印)」として使われる例は、現在も多く見られます。
カーナビやGPSが普及したとはいえ、やはり「あのバルーンの下に施設がある」という直感的なわかりやすさのメリットは大きいようです。

また屋外ではなく、展示会などの広い屋内で使われる例も増えてきました。
屋内なので天気の心配が不要、天井があるのでさほど高くあげる必要がなく、煩雑な届出や準備なども要らないという点で、目立つ装飾看板としての役割を果たしています。

……それに最近は球体のバルーンだけじゃなくて、様々な形のバルーンが作れるようになったからね。
企業のロゴやマスコットの形をしたバルーンなども、楽しく空中を浮かんでいるよ。

「ああ、確かに見たことあります!
限られたスペースの中で、のぼりを立てるなど遠目でもブースが目立つように工夫したいんですよねえ」

ガスの調達や注入、撤収の手間ひまなどの準備は大変だけど、やっぱりプカプカと優雅に浮いているアドバルーンは魅力的な看板だと思うなあ。
と、話しているうちに、ちょうど空もいい感じに曇ってきたね。
さ、じゃあそろそろ出て、次の顧客先に向かおうか!

「わぁ、全然休めなかったですよ。もっとこうアドバルーンのように、プカプカと寝ているだけで宣伝ができるとかならないですかねえ」
トホホ。涼み過ぎて、すっかり気が抜けちゃったかな。

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