センスが光る!おもしろ看板。

「看板博士~。看板で最近イラッとしたことがあるので、話を聞いてもらえますか」
(博士じゃないんだけどなあ)ん、何かな?

「うちの近所に『閉店セール』って看板を掲げたお店があるんですよ。でも、そのお店って、もう十年以上もその看板のまま営業しているんですよ。だから看板に偽りありじゃないかって聞いてみたら『毎日夜には閉店しているから、この看板を出しているんだ』って。これっておかしくないですか!」
わはは、個人的には好きだなあ。

「いや、そっちのおかしい、じゃなくって」
いやいや、失敬。

確かに、若干グレーな要素はあるけど、世の中にはおもしろさで人を惹きつける看板は結構あるよね。笑いは人をハッピーにさせるって言うしね。
「そうですかねえ……。じゃあ、イライラしたままの私をハッピーにさせる、おもしろ看板を教えてください!!」
うん、お安い御用だよ。
……ただこういうのってセンスが大きく作用するから、さらにイライラさせちゃったらゴメンナサイ!

まさかさかさま

「一番高い店」と書かれた看板。
普通だと、おやおや?と思うかもしれません。
しかし、それが上下逆に設置されていたらどうでしょうか。
「そっか、逆に安い店なのね」というユーモアを感じるかもしれません。
このような、逆さま看板は、たまに見かけることがあります。

その一番の目的は、やはり目につきやすいこと。
例えば、本屋さんの看板で「本」という感じが逆さまになっていたり、求人広告のパネル広告がまるまる逆さまになっていたり。
「あれ、貼り間違えじゃないの?」とついつい目が行ってしまい、必然的に印象に残るようです。

ただし、看板はチラシではないので実際にひっくり返すことはできません。
そのため、あまりに過度の情報を記載すると、読むのにも一苦労。
「目立った上で、記載している情報を全て伝える」よりは、「目立って、店名やキーワードなどを伝える」程度に抑えておく必要は生じます。

パロディ風看板

一見美容室みたいな看板……と近寄って見たら飲食店だった、よく見るモナリザの絵だと思っていたら手に商品を持っていた、などなど。
既存のものをうまくパロディにした看板も見かけることが多いです。

よくここまで似せたなあというモノマネの愉快さや、既存のものからよくこうやって自社の看板へ発展させたなあという感心。
さらには「第一印象で思っていたものと違っていた。やられた!」という予想外の裏切りをうける心地よいダマされる快感が、おもしろさを醸し出します。

ただしこのような看板を作る上で注意点が2つあります。

まず、既存の商標や著作権を侵害するようなパロディはアウト。
キャラクターなどはもちろん、文字のフォントや配色なども侵害してはいけません。

もう1つは、特に旬を狙ったパロディは風化しやすいということ。
例えば、その時ニュースになっているものや、勢いのある芸人さんのギャグなど。
短期に掲載するポスターなどはいいのですが、長期間更新しないような看板にすると、旬が去った際に逆に寂しく思われます(もっとも、それすらも狙ったおもしろさであればいいのですが、ちょっと高度なセンスが必要なようです)。

ちなみに余談になりますが、筆者が好きな看板は、川崎市の「藤子・F・不二雄ミュージアム」内のトイレにある看板。
通常よくある「水色で男性のシルエット・桃色で女性のシルエットで、それぞれ男女のトイレを示している」マークです。
しかし、よく近づいて見てみると、そのシルエットの髪型には何となく見覚えが。
もしやこれは『ドラえもん』に出てくるあの男女!?

行かれた際には是非チェックしてみてください。
こういう「きちんと情報を提示する目的をなしているけど、よく見たら実は……」という看板、オシャレで大好きです。

思わずびっくり仕掛け(!?)看板

本屋さんの絵本売り場では、ページを開くと折りたたまれていた紙の細工が広がる「仕掛け絵本」が人気です。
中には紙だけでなく実際に小窓や紐などがついていたり、見る角度によって絵が違っていたりなど、様々な演出もあるようです。

そして、看板にも同じように仕掛けがあるものも多々あります。
例えば、通常の紙製の看板かと思っていたら、一部分だけ立体造形物が組み合わせているものがあります。
食品サンプルが食欲をそそるように、立体物でアピールされると思わず目を惹きます。

また、一見普通の看板ですが、光の加減によって見え方が変わったり、左右で見ると違う内容に変わったりする看板もあります。
このような看板の場合、手品のように、その仕掛けのおもしろさで心に残りやすくなります。

触れたり剥がしたりOK!? 体験できるポスター

センスが光る!おもしろ看板。
2015年に、人気ゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」の新作キャンペーンで、東京の新宿駅に貼られたポスターは画期的なものでした。
80mほどの通路には商品のポスターに加えて、人気登場キャラクターのスライムのイラストがついている気泡入り緩衝材(いわゆるプチプチ)も貼られていました。
その数、実に10万! ゲームの内容に合わせて、誰でもそのプチプチをつぶして、スライムを倒していいというポスターでした。
(参考:「発売目前!新宿駅に10万匹の”プチプチスライム”が襲来!!」 スクウェア・エニックス
http://blog.jp.square-enix.com/heroes/2015/02/post-5.html )

そして、10万匹のスライム、なんとわずか1日で討伐されたそうです。
その模様は、SNSやゲーム雑誌のニュースでも多く取り上げられました。
単につぶせるだけでも楽しいですし、見知らぬ人と協力して途方もない数字をクリアするという要素も盛り上がる一因であったようです。

同様に今年1月、ゲーム「スクールガールストライカーズ」のポスターも新宿駅に貼られました。
そして剥がしたらそのまま持ち帰ることができる登場キャラクターのシールも合わせて貼付。
(参考:公式Twitter https://twitter.com/sgs_pr )

こちらも人気が殺到し、後日追加設置が行われました。
クーポンがついているポスターなどはたまに見かけますが、ここまで大掛かりでノベルティ配布に近いような看板というのは、格別なワクワク感が出てきます。

ボードに添えられる一言メッセージ

美容院やカフェなどでは、ボードを使った看板がよく店頭に出ています。
通常はメニューやおすすめ、今日の挨拶がわりの一言などが添えられています。
しかし、中には個性的な一言メッセージがあり、それが注意を誘うこともあります。
店員のプライベートな予定を書いてみたり、全然違うお店の情報を書いていたり、ダジャレっぽいようなキャッチコピーを堂々と書いてあったり。

チェーン店などでは、中の人の個性が出ることの良し悪しなどがあるようですが、他との差別化や人目を惹きやすい、そして看板自体のファンを作るという意味でも大変効果があると思います。

若干ずれるかもしれませんが、店内の商品に飾るPOPもある意味看板と言えるかもしれません。
ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」や、雑貨も多く遊べる本屋さんの「ヴィレッジヴァンガード」などは、POPが非常に特徴的。
そこのフレーズによって売上が大きく左右するそうです。

おもしろ看板で大事なのは?

「なるほど~。初耳の看板もあれば、言われてみれば仕掛け看板とかは昔見たことあるのを思い出しました。色々あるんですねえ」
そうだね、おもしろい看板は、いつまでも心に残りやすいね。

「ちなみに、おもしろい看板を作る上でのコツって何かあるんですか?」
そうなるとやっぱりセンスが大事かな。
おもしろさを狙いすぎると、ついつい過激になってしまいがち。そのために見た人をイライラさせちゃったとしたら本末転倒。おもしろさを狙って失敗したら、目も当てられないからね。
「そうですねえ」

あと「看板」である以上、PRしたい内容をちゃんと前面に出さないとダメだよ。
カンバンだけに、カーンと響くのをバーン!ってね。
(えっと、イライラまではいかないけど、これがまさに「おもしろさを狙って、失敗」した実例ってやつか……)